ダーニングとは
縦糸と横糸を組み合わせ、布を織るように、洋服等の穴あき部分を閉じていく、日本の「かけはぎ」に似た技術です。
衣服をお直しすると、とかく不格好になりがちですが、
ダーニングすると、とても素敵になるんですよ。
ダーニングは、何というか、衣類への愛おしさが増すような修繕方法なのです。
カラフルな糸を使ったり、新しいデザインを加えたり。
工夫すれば、胸がキュンとするような仕上がりになります。
長く洋服を着ていると、どうしても汚れや擦り切れ、穴あきが発生してしまいます。
痛むほど着古した衣類には、それだけ愛着があったという事。
気に入った物ほど、捨てられなかったりしませんか。
修繕することで、以前よりもステキになったら、こんなに嬉しいことはありません。
ダーニングという手法を知って、自分でも試してみたくなりました。
はじめてのダーニング
破れたダンガリーシャツで、ダーニングに挑戦してみます!
着古したシャツです。
ゆったりと着やすくて、外遊びにちょうど良いんですよ。
子どもと滑り台で遊んだ時、裾が引っかかったのに気づかず、そのまま滑って裂けちゃいました。
赤系グラデーション糸を横、紺系グラデーション糸を縦に使いました。
両方とも、太めの刺し子糸を使っています。
近くで見ると、縫い目は不格好。
糸はよれて、布も引き攣れています。
良い出来とは言えませんが、何とか穴はふさがりました。
初めてにしては、なかなか良いんじゃない~?(自分で言う)
裏には、薄手の綿布を当てています。
紺色の裏地を使いました。切りっぱなしです。
しばらくこれで着てみます。
娘のレギンスを繕う
1つ完成したら、もっとやってみたくなりました。
次は、娘の穴あきレギンスに取り掛かります。
転んで両ひざに穴が開き、捨てようかどうしようか迷っていたもの。
ユニクロのやつです。
初めは、失敗したら捨ててもよい服でやってみると良いですね。
気楽にはじめられます。
ハートと三角にダーニングしました。
赤ボールペンで形を描いて、縫いました。
ふふ、適当。
ハート意外に可愛いじゃない?
三角も雑ですが、何とか形になりました。
娘に見せると、目を輝かせて「うわぁ!すご~い!」という反応。
翌朝、喜んで学校にはいて行きました。
ただ穴を塞ぐだけでは、この笑顔は見られなかったことでしょう。
少々下手でも、手をかければ、子どもは喜んでくれます。
このバイブスのおかげで、まいにち母親やれてます。有難いことです。
感想
実は私、つくろい物が大の苦手。
小さな子どもがいると、もう週に1つは穴あき洋服が発生するんですよ。
特に次女はすぐ転ぶので、発生頻度が高めになっています。
修繕を後回しにしていると、段々面倒になってきて放置しがち。
穴あき洋服を積み上げたまま、時が過ぎ、そのままサイズアウトすることも多々ありました。
自分にとって、繕いものは、ただただ退屈な作業でした。
それが!ダーニングは楽しいんです。
形や色どりに工夫して制作する、趣味の手芸に変わります。刺繍に近いのかな。
世界の女性たち、人生の先輩方はこうやって、退屈な家事を楽しみに変えてきたのかなと思いをはせます。そのクリエイティビティを尊敬します。
日本にも繕い物の文化はあります。
虫食いやタバコの焦げなどの小さな傷を、分からないように補修する「かけはぎ」
ステッチで描くように模様を作る「刺し子」は、もともと衣類を補強したり、布を重ねて防寒具にする技術でした。
布が貴重だった時代に、木綿に何度も何度も当て布をして重ね縫い、芸術品になったボロ布「襤褸(らんる)」など、日本の古布にも魅力があります。
NHK大河ドラマのいだてんを見ていても、庶民の衣装のすばらしさに目を引かれてしまいます。車夫のボロい仕事着とかたまりません。役者さんにすごく似合っていました。
布の再生のほかにも、割れた陶磁器を修復する「金継ぎ(きんつぎ)」等、古い物を大切にすることから生まれた文化に、なぜか最近すごく惹かれるのです。
ものに愛着を持って大切にすることに、豊かさや贅沢さを感じるようになりました。
現在、我が家には、穴が開いたまま放置している洋服がたくさんあります。
ジーンズや、娘のレギンス、夫の仕事着等、ダーニングの練習素材には事欠かない状態です。
ぼちぼちダーニングして、再生していこうと思います。
刺し子糸の通販
今回使ったグラデーションの刺し子糸は「刺し子糸の小鳥屋・Yahoo!店」で購入しました。
実店舗もある老舗の呉服屋さんで、オリジナルの段染め糸がすごくカッコ良いんです。
赤からピンクのグラデーション糸は、すごく可愛い色合いでした。
紺色のグラデーション糸は、白に近い薄ぼかしと、紺に近い濃ぼかしの2種類あります。
今度はラスタ系の染糸が欲しい!
発色が良くて、夏に映える3色の組み合わせです。
生成りの糸は、素朴な風合い。
漂白してない糸を、草木染すると楽しそうですね。柿渋とかやってみたいな。
無加工糸は、すごく安いんですよ。
1玉150円とかです。細糸・太糸選べます。
ダーニングと古布の本
胸がキュンキュンした2冊をご紹介します。
何冊か読んだ中で、一番良かったダーニング本です。
デニムや靴下、子ども服など、日常的に繕う衣類が多数紹介されています。
手順の説明には、カラー写真が沢山添えてあり、初心者が目で見て分かりやすいです。
技術はシンプルなものから、刺繍のような装飾ダーニングや、カラフルな布を当てるパッチワーク的なダーニングなどバリエーション豊か。
あて布は、上から当てる方法と、下から当てる方法が両方あって親切です。
ダーニングはこれ一冊あれば良いのでは。
日本の古布沼に引きずり込まれそうになった1冊です。
作品はもとより、とにかく作家のお2人がステキ。
ページをめくるたび「年月を重ねる美しさ」が伝わってきます。
自分が年をとることすら、ポジティブに感じられます。
おばあちゃんになっても、こんな風に「好き」でつながったお友達と仲良く、好きなことに邁進していけたら良いですね。憧れます。