2012年11月、香川県観音寺市にある「三豊総合病院」で、第二子(女の子)を里帰り出産しました。
出産当日から退院まで、入院6日間の記録です。
臨月(妊娠10か月)
臨月に入ってから、腰骨が緩んで、骨のパーツがバラバラになっていくような感覚がある。
尾てい骨が、前後にギシギシ動くようになった。あおむけに寝ると、身体の重みで内側に曲がる。ゴリゴリと音がして、足と腰のジョイントがずれるような不快感。
歩いていると、股関節が突然外れるんじゃないかって思うほど痛むことがある。足の力が抜けて、ガクッとなるから気を付けないと。さらに出産3日前には、恥骨痛が加わった。歩くのもしんどいし、座ってるのもしんどい。赤ちゃんが全力で骨盤を押し広げているようだ。
それでも、ずっと家で居ると気分が滅入るし、やんちゃ盛りの3歳の娘にも良くないので、2~3日に1度は散歩に出かけている。だんだん歩ける距離は短くなって、もう近所のスーパーか、小さな公園にしか行けないけど。
娘は走るのが大好き、私の手を振りほどいて、すぐに一人で走り去ってしまう。大声で「ストーーーーーッツプ!!!」と叫ぶと止まってくれるけど、もし止まってくれなかったらと思うとぞっとする。何かあっても、今は走って追いかけられないから、気が気じゃない。
予定日までは、あと2週間ほど。
臨月に入ってから、2度健診があったけど、いまだ兆候は見られず。
出産の前兆
深夜1時ごろ、子宮口辺りが痛くなるほどの、強い胎動があった。手で直に突っつかれたような感覚。出血したかと下着を見たけど、大丈夫だったので寝てしまった。
翌朝6時過ぎ、お腹の痛みで目が覚める。
陣痛かと、痛みの間隔をカウントしはじめたけど、7時過ぎには消えてしまったので、夫には連絡せず。
午前11時頃、眠気に襲われ昼寝。
12時過ぎ、またお腹の痛みで目が覚める。無性に生野菜が食べたくなって、サラダを作っていたら、痛みが強くなってきた。今度は本当に陣痛かもしれない。カウントをはじめる。
13:15 おしるしを確認
間違いない。はじまった。夫に連絡する。
大量に作りかけていたサラダをほっぽりだして、入院の準備にとりかかる。
陣痛の合間に荷物をかき集めながら、手早くシャワーを浴びた。
娘の歯を磨いて、着替えさせる。自分も身支度を整えなければ。
痛みをこらえながらの準備は、思うように進まない。
13:26
13:40
13:53
14:11
だいたい15分おきの陣痛。
14:25
14:47
14:51
病院に電話して、診療予約。
15分間隔の陣痛で入院するのは、経産婦ならちょうど良いタイミング。
母に連絡して、車で病院まで送ってもらうことにした。ちょうどひと仕事終わったところだそうだ、良かった。
15:06
15:19
母到着、洗濯物をとりこんでから、病院に向かう。
入院、LDRへ
病院に到着。
外来診療していない時間だったので、直接産婦人科病棟へ向かう。
ちょうど担当医の先生がいらしたので、診てもらったら、子宮口がすでに4センチ開いてた。
2日前の健診では、完全に閉じていたので、先生も驚いていた。
「これは、明るいうちに産まれるかもしれませんね~」と先生。
すぐにLDRに入る。
LDRは、Labor(陣痛) Delivery(分娩) Recobery(回復)の略で、陣痛分娩室のこと。
※kotobank > LDRとは
三豊総合病院には、LDRが2室ある。
陣痛室、分娩室、回復室がひとつになったLDR。
場所を移動することなく、お産に挑むことができるので、妊婦さんの負担が少ない。
病院っぽくない、明るい雰囲気の部屋。
妊婦さんがリラックスできるよう、照明を薄暗く調節したり、好きな音楽を流せるようになっていたり。
付き添いの家族のために、二人掛けのソファも置かれている。
お母さんのベッドの隣には、新生児用のベッドがある。
出産直後、赤ちゃんの処置はここですることになる。
前回のお産では、娘は生まれてすぐに、処置のためどこかへ連れて行かれて、しばらく帰ってこなかった。
出生時に心拍が落ちていたし、産声をあげなかったから、すごく心配したんだよね。
お隣に居てくれたら安心できそう。
出産
LDR入室後、分娩着に着替えて、お腹にモニターを付けた。
モニターには、陣痛の強さと、胎児の心拍や動きが映し出される。
痛みはどうですかと聞かれても、「まだ耐えられる痛さ」とか「ひどい下痢くらい痛い」とか「下半身が震えるくらい痛い」とか、そんなあいまいな表現しかできないけど、モニターの波線を見れば一発で分かるね、数値も出るし。
ちなみに、出産直前の「ガタガタ下半身が震えるくらいの痛さ」は、数値が100を振り切ってました。グラフ用紙から、線がびよーんとはみ出てた。
LDRに入室してから小一時間、母と娘に加えて、父と叔母もかけつけてくれた。父が娘の面倒をみている間、母と叔母が一緒に居てくれる。陣痛の合間には、普通に会話もできる。話すと痛みがまぎれるし、リラックスできていい。娘に陣痛が来てても、慌てず騒がず、いつもどおりに見守ってくれる仲良し姉妹。安心する。私の娘達もこんな姉妹になってくれたらいいな。
こうやって出産を待つ間も、スタッフは代わる代わる様子を見に来てくれる。5分おきくらいかな。2時間以上も放置された前の病院とは大違い。
おしゃべりしてたら、痛みが急に強くなってきた。先生に診てもらったら全開大。”全開大” とは、子宮口が完全に開いた状態(10センチ)のこと。ここまで開いてやっと赤ちゃんをお迎えできる。
「あ、全開大ですね~」と先生が言った瞬間、スイッチが入ったかのように陣痛のレベルがぶっとんだ。本当に突然。
自分の我慢の糸が切れたのか、降りるのを待っていた赤ちゃんにGOサインが出たのか、いきなり痛みが耐え難いものになった。家族がいったん外に出て、スタッフが分娩の準備にとりかかる。
ここからはもうベッドの上で自分を保つのがやっと。横になって、エビみたいに身を縮めて痛みを堪えたいのに、助産師さんに身体を開くように求められる。そりゃそうだ。やっとの思いでカラダを反転させて、仰向けになって足を開いたら、もう待ったなしの状態になった。赤ちゃんがぐいぐい降りてきて、圧力でお尻が裏返りそうになる。いや実際、裏返りかけてたのかも。助産師さんが、お尻を押さえてくれたような気がする。
助産師さんの指示で、体勢を整える。
痛みにねじれる身体を正面に構えて、赤ちゃんの方を見るようにアゴを引き、目をしっかりと開ける。
そうしたら、ひときわ強い陣痛とともに破水。
ぷしゅっと生暖かい水が飛ぶのが見えた。
「うん、上手よ~」「痛みのない時はゆっくり呼吸、赤ちゃんに酸素を送ってあげてね」「冷静にできてるよ」
時たま声かけしてくれる助産師さんの言葉が道しるべ。痛みに気が遠くなったとき、声かけでふと我にかえる。こんな時でも、褒めてくれるとうれしいもんだね。
「もう赤ちゃんの○×△が、○×出てきてますよ~」という言葉を聞いて(もはや、ちゃんと聞こえてないし、聞き直す余力も無い)ちょっと元気が出た。若干出て来てるということは、今いきむタイミングだよね。
「もういきんでもいいですよね!!」と、わざわざ確認してからいきむ私。
いきむ段になると、痛みを感じなくなる不思議。陣痛の波に合わせて力をこめると、痛みがどこかへ飛んでいった。赤ちゃんが出ようとする力は、コントロールできないほど強い。私はそれに合わせて力を貸すだけ。実際そんなに力は要らない。1回のいきみを2度に分けて、様子を見ながらいきんだら、すぐに出てきたよ。
生まれてすぐに元気な泣き声!うれしかった!
ところどころに白い胎脂が付いた、生まれたてほやほやの赤ちゃん!
助産師さんが胸の所に置いてくれたけど、数十秒間抱いただけで、赤ちゃんは運ばれていった。羊水が肺に入ってしまい、呼吸が苦しそうなので、小児科の先生が吸引することになったそうだ。
というわけで、カンガルーケアは、残念ながらできず。
しかし早かった。あっという間に産まれてきたよ。超安産。
分娩の準備をはじめてから、まだ10分くらいしか経ってないような気がする。
その後、後産。
生あたたかい胎盤をでゅるんと引っ張り出して、胎内に溜まっている血液なんかをかきだしてから(これが出産くらい痛い!)会陰の縫合。
やっぱ裂けてたのね。頭が出てくるとき、引っ張られるような感覚はあったけど、裂ける痛みは全く感じなかった。縫合してくれた女医さんに聞いた話では、裂傷の痛みは切り傷みたいなもんだから、陣痛に比べると大したことないらしい。たしかに、身体の表面が傷つく痛みと、中からマグマのようにずんどこ湧いてくる陣痛とは、痛みの種類が違うかも。
後処置をしている30~40分の間、赤ちゃんは隣のベッドで気管の吸引をされていた。
30分くらいかな。ガボガボゴボゴボと溺れているような、苦しそうな泣き声を聞くのはつらかった。けど「ごめんね~苦しかったね~」とか、先生がやさしく声をかけながら処置してくれているのが分かって、安心できた。近くに居てくれて良かったと思う。
処置は無事終わり、赤ちゃんは大事をとって、酸素多めの保育器に入ることになった。
赤ちゃんが去った後、助産師さんに身体を拭いてもらって、パジャマに着替え。そのままベッドの上で家族とゆっくり過ごす。
2時間後、出血などを確認した後、助産師さんが車いすで病室まで運んでくれた。
部屋に着いたのは、20時過ぎだったかな。
入院初日 夕食
取っておいてくれた夕食をいただく。ヘルシーな和食、完食。
ごはん
鮭のたらこマヨネーズ焼き
ごった煮
ひじきサラダ
そば
のりごまふりかけ
父が、近くのスーパーでお寿司など買ってきてくれていた。
談話コーナーで、食事してなかった娘と母に食べてもらう。はじめて妹を見て、興奮気味の娘がかわいい。
新生児室の前に張り付いて、妹をずーっと眺めていたらしい。いいお姉ちゃんになってくれそう。
消灯時間も過ぎた9時過ぎ、わたしも身体を休めることにした。
出血は少なかったとはいえ、やっぱりふらふらする。疲れた。
今夜、3歳の娘は生まれて初めて、私と離れて寝ることになる。娘にバイバイすると、ぐずってメソメソしはじめた。私の姿が病室に消えると、廊下で大泣き。つらいけど、あとはお婆ちゃんに任せるしかない。よろしくお願いします。
写真をいただく
まだ分娩台に寝てる時にいただいた、出産直後のベイビーの写真。
カメラ目線でいい写真!ありがとうございます。